この動画と文章は、生徒さん向けのレッスン内容確認とKindle本の補足です。
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1 口腔は狭さから調整します。最初から広く開けて声の通過を待ち構えようとすると、声が広く散りやすくなり響きが飛ばなくなります。しかし、身の回りでは豊かに聴こえる”そば鳴り声”になるため、この声で納得してしまう場合は多いです。狭さの最適な調整が”喉を開く”という行為です。口腔と同様に咽頭や喉頭も狭さから調整します。
2 母音の練習は汚く行います。汚さや粗雑さの均質化が豊かな声の響きや輝きの素になります。舌は前側に寄せておくと良いです。前側からスタートし、中間や後ろ側に調整する必要があります。良く通る明るい声は、前側の舌と硬口蓋の狭さを調整して作り、次第に声質や歌う曲に合わせて変化させると良いです。
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声の闘争はアッポッジョの核となる要素です。アッポッジョのある発声は出す一方ではダメで、出さない力が必要になります。出さない力は吸気筋を使います。呼気筋50と吸気筋50の対立が一番強い圧縮をもたらします。しかし、本当に50と50で対立させると気息が止まり声になりません。実際は51対49に呼気筋を優勢にさせます。優勢になった結果の2が声になり、対立した49が支えになります。
4 アッポッジョは水中に沈めたゴムのボールのようなものです。浮いてくる力を押さえつけるバランスが必要です。このバランスは音域や母音、子音によって変化します。常に最適なバランスを探すための素早い判断力と対応できる瞬発力が大切です。
5 肺の圧力を維持するために声道全体は圧縮します。声道自体で声の響きを増幅させようとすると、声は暗くなりバランスを失います。声道は狭さから最適な広さを探すと良いです。
6 声と呼吸は背中でコントロールします。首すじは上下に引き伸ばされるように、背中の筋肉は左右に伸びるように収縮させます。吸気時の状態を保つことがアッポッジョの成立につながります。また、背中の筋肉は全体的に後方へ膨らませる、あるいは引っ張られていると良いです。
7 首周りは後ろへ引かれつつ、しかしそれに負けないように前方へ頭部を投げ出すと良いです。逆行する力をつり合わせることで普通の頭部(首周り)の状態にします。結果的に普通の状態になるなら何もしなくて良いという錯覚が発生しますが、力と力の相互支持が声及び喉頭を支えるため、とても大切な感覚です。+1と-1の合計が0にならず、お互いを支え続けていると良いです。
8 パッサッジョは低声へ向かう力と高声へ向かう力で支えます。それぞれの音高、それぞれの母音によって最適なバランスは常に変化し続けるので筋肉の慣れが重要です。首や喉頭周辺は適切な力みが必要であり、脱力するとバランスは崩れます。
(参考文献)
https://www.amazon.co.jp/Shinji-Nakayama/e/B0718V3SFQ/ref=zg_bs_2293031051_bl_16?_encoding=UTF8&refRID=3RK9Y2WHP014PKDGBZ22
(参考動画)
https://youtu.be/8IbQnwkh7uM