よく通る高い声を出すための発声法と練習のやり方

よく通る声・高い声の出し方や練習方法(2017年)

《口蓋化を利用して声を出す》

よく通る高い声を出すときは、口蓋化(こうがいか)を利用すると良いです。発声時に舌の前面が硬口蓋に接近することを口蓋化と言います。イ母音のような舌の状態といえます。口蓋化された声はよく通る明るい声になります。

エ母音の場合もイ母音と同じように、よく通る声になります。

 

(ポイント1)

1 下前歯の裏に舌先をつける

2 舌先を下前歯の裏につけたまま、舌の前側の面を盛り上げて硬口蓋に近づける

3 舌の前側の面が硬口蓋に接近した状態を保持しながらエ母音やイ母音で声を出す

イ母音だと難しい場合があるので、最初はエ母音で慣れておくと良いです。すべての母音をイ母音のように輝かせることが大切です。

 

(ポイント2)

・口腔の前側で声を圧縮するようなイメージがあると良いです。最適な狭さを口腔内に作り、圧力を維持する必要があります。

・よく通る高い声を出すときは、声の通り道である声道を“狭さ”から調節する必要があります。“広さ”から調節すると、声が広範囲に拡散してしまい飛ばない声になってしまう場合があります。

 

 

《切歯窩を狙って声を出す》

遠くまでよく通る声を飛ばすときは、声を切歯窩(せっしか)に当てると良いです。切歯窩は上前歯の付け根(硬口蓋前方)にあります。この切歯窩は硬口蓋の中にある切歯管の口腔側からの入口です。

切歯管周辺の骨は他の硬口蓋よりも密度が高く硬質です。切歯窩に声を当てると切歯管周辺の硬質な骨に声の振動が伝わります。この切歯管を利用して、声を口腔から鼻腔に向けて伝えることがよく通る声を出すために大切です。

 

(ポイント)

1 口はあまり開けないようにする。

2 口腔は適度に圧縮し、口腔前方の舌の面と硬口蓋との距離は少し接近させる。

3 上前歯の付け根を狙って声を出す(このときに口からは声を出さないつもりで発声する。口からは息を少し逃がす程度)

4 エ母音やイ母音で練習して声道を慣らしておく。切歯窩を狙う感覚をつかめたら他の母音でも練習する。

 

 

《硬口蓋に声の焦点を感じ、そこに押し付けるようにして声を出す》

遠くまでよく通る声を飛ばすときは、声の焦点を硬口蓋に感じながら声を出すと良いです。声の焦点を硬口蓋に設定し、声を硬口蓋に押し付ける、あるいは硬口蓋を声で持ち上げるようにイメージすることが大切です。

口腔は全体的にやや圧縮し、口腔の前側に狭さを感じると良いです。この狭さが広がってしまうと息が太くなってしまい、声の焦点がぼやけてしまいます。声の焦点の場所と意識するタイミングを逃すと飛ばない声になります。ちょうど良い一瞬と一点を探す必要があります。ラジオのチューナーを微調節するようなイメージで声の焦点を探すと良いです。

 

(ポイント)

1 咽頭上部で声を炸裂させる(エやイ母音で練習しておくと良い)

2 1の炸裂と同時に、硬口蓋(口の天井の前側の硬い部分)に向けて声を押し付ける。

3 硬口蓋に声が集中して当たる焦点を感じ、そこからズレないように声を強く固定する。あるいは硬口蓋から鼻腔に向けて声を押し上げる。

4 口からはわずかな息を逃がす程度にして、声そのものは硬口蓋に押し付けたまま歌う。

 

 

《咽頭上部で声を炸裂させると同時に圧縮して声を出す》

よく通る高い声を出すときは、咽頭上部を圧縮している感覚があると良いです。炸裂させるように鳴り響く非常に強い声を、咽頭上部で最も小さい形に圧縮させる必要があります。声は小さく圧縮するほど、大きくよく通る声になります。圧縮する力が弱いと声が広範囲に散らばってしまい、よく通る声に必要な鋭さがなくなります。また、この炸裂と圧縮は高い声を出すときにも必要です。

また、咽頭上部で炸裂と圧縮をさせた声は、口から直接出さない感覚があると良いです。実際には口から出ていますが、声を当てる場所は上前歯の付け根が良いです。高い声を出すときも、口からは出さないで上前歯の付け根にやや強く当てるだけで良いです。

口腔や咽頭などの声の通り道である声道内で声を閉じ込めて炸裂させ、圧縮することが重要です。その際の負担は背中の筋肉で支える必要があるので、首すじから腰の筋肉を外側に少し張り詰めると良いです。声道全体にかかる負担を背中の筋肉で分配しつつ支える必要があります。このときに背中の筋肉が緩んでいると、負担が喉頭に集中してしまい喉を壊してしまう場合があります。

 

(ポイント)

1 声を咽頭上部で炸裂させる(強く響かせる)

2 アルミホイルを丸めて小さくする感覚で、炸裂した声の響きを圧縮する(1の時に声の響きが広がる前に圧縮して小さくまとめる。12を同時に行う)

3 圧縮させた声の響きを上前歯の付け根に押し付ける(13をほぼ同時に行う。声が炸裂すると同時に圧縮と上前歯の付け根への押し付けを完了させる)

 

 

 

  ここの文章は、私が執筆したKindleのボイトレ本の内容から一部を抜粋し、改変したものです。

 

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