発声練習のための姿勢と呼吸及び体幹トレーニングについて

声楽・合唱の発声基礎と体幹トレーニング(2017/6月)

《姿勢の基礎ポイント》

姿勢の練習は「良い姿勢」を「普通の姿勢」と思えるように練習することが大切です。意識しなくても良い姿勢になるように「良い姿勢の癖」をつけると良いです。良い姿勢は「体幹(体の内側の筋肉)」と「下半身(太もも、足の裏)」から作ることが大切です。体幹と下半身を安定させて、発声時の負担を全身で受け止めましょう。

姿勢と呼吸はセットで考えることが大切です。良い発声は、姿勢と呼吸の適切な協調の結果です。

 

 

《支えのある声を出すための姿勢のポイント》

1 足の裏

良い姿勢は足の裏から作ります。足を肩幅に開き、太ももの内側と足の裏の内側を意識します。そして両足の内側中央に重心を集めるように立ちます。発声は、力が外にもれないように足の内側に力を集めると良いです。また、ひざは少しゆるめます。呼吸を安定させ、良い声を出すときは足の裏で地面を踏み込む必要があります。ひざが伸びてしまうと、上半身からの力がひざで止まってしまいます。全身の負担を足の裏から地面に逃がす必要があるため、ひざはゆるめて自由な状態を保持すると良いです。

 

2 太もも(内転筋)

安定した声や呼吸で歌うときは、太ももの内側に少し力を込めて外側に逃がさないことが大切です。太ももにある内転筋を引き締めることは、腸骨筋や大腰筋を安定させるため発声の安定につながります。特に、高い声を出すときは太ももの内側に力を込めて、内転筋を引き締めると良いです。

 

3 胸郭と肩

胸は少し高めに張って保持します。その際は、二の腕を少し後ろにずらすと良いです。胸の横の脇には前鋸筋(ぜんきょきん)があります。前鋸筋は肩甲骨から肋骨に付いており、呼吸の補助をします。胸と二の腕が接していると前鋸筋の機能が制限されて息が浅くなるため、二の腕は少し後ろにずらすか、二の腕を胸から5mmから1cmぐらい浮かせると良いです。

 

4 首すじ

うなじは縦に少し伸ばします。そのとき顎は自然にひいた状態になります。うなじを適度に伸ばすことは、姿勢と呼吸の両面で大切です。また、うなじから背中及び腰につながる各筋肉群(脊柱起立筋、上後鋸筋・下後鋸筋などの背中の筋肉)は、主要な呼吸筋及び抗重力筋であり、発声時において特に重要です。支えのある歌声や呼吸は、背中で行う意識が大切です。

 

5 背中

背すじは少し伸ばします。しかし、背骨はゆるやかな曲線なので、無理に伸ばすと背中側に息が入らなくなり、結果的に浅い呼吸になってしまいます。背すじの伸びは曲線のまま適度に伸ばすと良いです。胸を少し張った状態で肩を上げて、二の腕を少し後ろに置き、軽く腕を落とすとちょうど良くなります。

 

(ポイント)

1 両足の内側の前側に重心を置く。ひざは少し緩める

2 両足の太ももの内側に少し力を込める

3 胸は少し高めの位置を保持する。肩も少し浮かせる

4 背中の首すじは縦と後ろに向けて適度に力を込める 

5 脊柱起立筋を全体的に使って呼吸と発声を支える

 

 

《背中を使った呼吸》

良い声を出すときの呼吸は背中を使うことが大切です。歌の呼吸は腹部の前側を意識し過ぎない方が良いです。腹式呼吸が意味する腹部とは腹部全体(特に腹横筋・腹斜筋)のことです。腹式呼吸は脇腹と背中を意識した方が声を支えやすくなります。また、胸や肩も少し浮かせておくと良いです。

 

呼吸の確認と練習)

1 お腹の横や背中に手を添える

2 横腹、背中を膨らませるようにして息を吸う 

3 横腹と背中の張りを、添えておいた手で確認する

4 息を吸ったときに腹部(横と背中)を張り、声を出す時や息を吐く時も、息を吸ったときの腹部と背中の張りを維持する

5 4”で行った呼吸を長く保持できるように練習する。このとき横腹と背中だけでなく、腹直筋の最下部に力を入れることも有効です。

 

(ポイント)

・横隔膜は背中との関連が深いので、腹式呼吸は背中を意識することが重要です。横隔膜が適切に機能しているときは、その反応が背中に表れます。これは横隔膜の付け根が背中の筋肉の内側にあるためです。そして、横腹も筋肉が連携しているので収縮します。 

・お腹の前側を出したり引っ込めたりするよりも、背中の張り具合が呼吸では大切です。深く安定した呼吸で声を出すときは、腹部の背中側の筋肉が重要になるので、腹式呼吸ではなく“背式(はいしき)呼吸”と解釈しても良いです。

 

  

《よく通る明るい声を出すための体幹トレーニング》

 明るい声を出すためには、体幹を鍛えて、体の内側の筋肉を使って声を出す必要があります。体の内側が弱まると呼気の芯が抜けてしまい、張りの無い曇った声になります。体の内側の体幹を鍛えて、良い姿勢と良い呼吸で声を出すことが大切です。発声は基本的に動くための筋肉より、動かない「抗重力筋(重力に負けないように姿勢を維持するための筋肉)」を使います。

重力に耐えながら動かない筋トレを行い、体の内側から鍛えることが大切です。また、体幹を鍛えることは高い声や、よく通る声を出す場合でも必要なトレーニングです。発声練習は筋トレの側面もあります。

 

 (鍛えるときのポイント)

・重力に逆らいながら行う

・インナーマッスルの力と力の支え合いを利用する

・動かないで行う(あるいはゆっくりした動きで行う)

・ゆっくりと呼吸をしながら行う(あるいは時々息を止めて行う)

・一日の練習は小まめに行う(一日1時間行う場合は、10分を6回に分けて行うと良い《例:朝10分×2回、昼10分×2回、夜10分×2回》)

 

以上のことが大切です

重力に逆らいながら、動かないで行う筋トレは発声練習と違って大きな音を出しません。そのため様々な場所や時間帯で行うことができます。声を出すことが難しいときは、筋トレで声のための筋肉(発声筋、呼吸筋)を鍛えましょう。体幹トレーニングは“姿勢”と“呼吸”において重要です。

歌っている途中で声が崩れる場合は、体幹を鍛えて筋肉を柔軟に使えるようにしておくことが大切です。特に、背中と首や脇腹及び太ももの内側を鍛えておくと良いです。

 

 

 

 

 

  ここの文章は、私が執筆したKindleのボイトレ本の内容から一部を抜粋し、改変したものです。

 

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